文政8年『神社仏閣順拝帳』
四国4番 黒巖山 遍照院 大日寺
阿波国板野郡黒谷村(徳島県板野郡板野町黒谷)
四国5日目は4番大日寺から。三方を山に囲まれた黒谷にあり、境内のそばを黒谷川が流れています。『日本歴史地名大系・徳島県』によれば、金泉寺から大日寺への遍路道が黒谷川沿いの道に出たあたりに遍路宿があって、よく利用されたそうです。太郎助もここに泊まったのかもしれません。
寺伝によれば、弘仁6年(815)弘法大師が当地に留錫して修行中、大日如来を感得しました。そこで一刀三礼して1尺8寸の大日如来像を刻み、本尊として安置したのが大日寺のはじまりとされます。
応永年間(1394~1428)松法師という人が夢で託宣を受け、衰退していた当寺を再建しました。その後、再び衰退しますが、江戸時代の初めに安芸杢兵衛という篤信者が寺の再興に尽くしたことが澄禅の『四国辺路日記』や寂本の『四国徧礼霊場記』に見えます。
徳島藩主・蜂須賀家は代々大日如来を守り本尊としており、特に5代藩主・蜂須賀綱矩は特に当寺に深く帰依しました。元禄(1688~1704)から宝暦年間(1751~63)にかけて手厚い保護を受け、堂塔の修造が行われています。
大日寺の納経
『順拝帳』を見ると、墨書部分は版木押しで、右から順に
「奉納経」
「本尊大日如来」
「阿州黒巖山」「大日寺」
「酉三月十四日」
中央の朱印は判読できません。右上の印は「四国第四番」、左下は「黒巖山」。
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大日寺の概要
黒巖山 遍照院 大日寺(だいにちじ)
現名称:黒巖山 遍照院 大日寺
御本尊:大日如来
創建年代:弘仁6年(815)
開山:弘法大師
所在地:阿波国板野郡黒谷村(徳島県板野郡板野町黒谷)
宗派等:東寺真言宗
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