文政8年『神社仏閣順拝帳』
四国32番 八葉山 求聞持院 禅師峰寺
土佐国長岡郡十市村(高知県南国市十市)
太郎助の四国13日目の行程は32番禅師峰寺まで。禅師峰寺は土佐湾からほど近く、大小の奇岩が並ぶ小高い峰山の頂上にあり、地元では「峰寺(みねんじ、みねじ)」の通称で呼ばれています。
寺伝によれば、聖武天皇の勅命により行基菩薩が海上安全を祈願して開創したとされます。
大同2年(807)この地を訪れた弘法大師が霊地であることを感得し、虚空蔵求聞持法を修されました。山の姿が観世音菩薩の浄土である補陀落山の八葉の蓮台に似ていることから八葉山、求聞持法を修したことから求聞持院禅師峰寺と名付け、自ら刻んだ十一面観音像を本尊として安置したと伝えられます。
この御本尊は「船魂の観音」と呼ばれ、古くから漁師たちの信仰を集めてきました。また、歴代土佐藩主は参勤交代で浦戸湾から出航するに際し、この寺で航海の安全を祈願しました。
仁王門に安置されていた仁王像は鎌倉時代の仏師・定明の銘があり、国の重要文化財に指定されています。太郎助も見たことでしょうが、現在は収蔵庫に収められているようです。
禅師峰寺の納経
『順拝帳』を見ると、墨書部分は右から順に
「奉納」
「十一面観音」
「土国」「峰寺」
「酉三月廿二日」
中央の朱印は火炎宝珠に十一面観音の種字「キャ」。右上の印は白抜きで「第三十二番」、左下も同じく白抜きで「禅師峰寺」。
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禅師峰寺の概要
八葉山 求聞持院 禅師峰寺
現名称:八葉山 求聞持院 禅師峰寺
御本尊:十一面観世音菩薩
創建年代:神亀年間(724~29)
開山:行基菩薩
所在地:土佐国長岡郡十市村(高知県南国市十市)
宗派等:真言宗豊山派
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