文政8年『神社仏閣順拝帳』
四国77番 桑多山 道隆寺(どうりゅうじ)
金倉寺から道隆寺までは約4kmの道のりです。
道隆寺は金倉寺を建立した和気道善の弟・和気道隆による創建と伝えられます。寺伝によれば、当時、このあたりは桑畑でした。ある夜、桑の大木から妖しい光が発していたので、道隆が弓で射たところ、悲鳴が上がり、道隆の乳母が死んでいました。悲しんだ道隆がその桑の木で薬師如来を彫り、一堂を建立して安置したのが始まりとされます。
後に道隆の孫の朝佑法師が伽藍を整備し、祖父の名に因んで道隆寺と名付けました。さらに弘法大師が訪れた際、薬師如来像を刻んで道隆の薬師像を体内に納めたといいます。
現在は真言宗醍醐派の大本山ですが、平凡社の『日本歴史地名大系』によれば、寛政3年(1791)頃には大覚寺を本寺として、末寺22ヶ寺を有していたそうです。文政8年(1825)でも同じだっただろうと思われます。
目次
道隆寺の納経
順拝帳の墨書は、右から
「奉納」
「本尊薬師如来」
「讃州桒多山」(桒=桑)
「道隆寺」
「酉ノ三月十日」「役者」
中央の朱印は宝珠に薬師如来の種字「ベイ」、右上の印は「四国第七十七番」、左下は「道隆寺役者」。
道隆寺の概要
現名称:道隆寺
御本尊:薬師如来
御創建:和銅5年(712)一説に天平勝宝元年(749)
所在地:讃岐国多度郡北鴨村(香川県仲多度郡多度津町北鴨一丁目)
宗派等:真言宗醍醐派大本山
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