古今御朱印覚え書

御朱印に関する考察、寺社参拝、拝受した御朱印、昔の御朱印・納経帳などについてのメモ

沼名前神社 戦前と現在の御朱印

      2015/10/04

広島県福山市鞆町後地1225(Mapiongooglemap

沼名前神社

戦前の官国幣社の御朱印を調べていくと、印文に社格を入れたものが少なからずあります。戦後、それらのほとんどが使われなくなった中で、福山市鞆町鎮座の旧国幣小社・沼名前神社では今も現役で使われています。

社格が入ってなかった場合、戦前と同じ印を使っているところは少なくありません。
例:上賀茂神社 石清水八幡宮 平安神宮

しかし、社格の入った御朱印はほぼ残っていません。
例:下鴨神社 松尾大社 八坂神社
デザインはほぼそのままで、社格の部分のみ変更した豊国神社のような例もあります。

一方、旧社格の入った御朱印は、旧県社以下の神社だとたまに見かけることがあります。
例:東石清水八幡神社(本庄市) 川之江八幡神社(四国中央市) 美和神社(長野市)

旧官国幣社で社格の入った印を使い続けているのは沼名前神社ぐらいではないでしょうか。

参拝は平成26年10月。

沼名前神社は、古代からの名高い港町・鞆の浦の西方山麓に東面して鎮座します。元は備後三祇園の一に数えられた鞆祇園宮ですが、境内にあった渡守社が式内社の沼名前神社に比定され、御祭神の大綿津見神が祇園宮本殿に祀られることとなり、社号も沼名前神社に改められました。

写真を撮るなら午前中の早い時間がいいと考え、高速バスで福山に着くと、朝一番のバスに乗って鞆の浦に向かいました。鞆の浦の町割りはほぼ江戸時代のままだそうで、新しい建物も結構ありますが、町の雰囲気が歴史を感じさせるように思います。

沼名前神社一の鳥居

沼名前神社の参道に出ると一の鳥居がそびえ、正面の一段高くなった場所に沼名前神社の社殿が朝日に照らされています。いかにも鞆の町のシンボルという印象の素晴らしい演出です。

沼名前神社二の鳥居

二の鳥居。鳥衾鳥居という珍しい形の鳥居で、笠木の上から鳥衾型が突出しているのが特徴です。鳥衾とは、鬼瓦の上に突き出している丸瓦のこと。寛永2年(1625)福山藩主・水野勝重が奉納したもので、広島県の文化財に指定されています。

沼名前神社注連柱と随神門

注連柱と随神門。

沼名前神社能舞台

国の重要文化財に指定されている能舞台。豊臣秀吉遺愛のものといわれ、伏見城内にありました。元和6年(1620)伏見城取り壊しに際して徳川秀忠より水野勝成が拝領し、万治年間(1658~66)水野勝貞が祇園社に寄進しました。

沼名前神社境内社

境内社。奥(右)に見える大き目の社殿が渡守社です。

沼名前神社拝殿

拝殿。正面より。

沼名前神社社殿側面

側面より拝殿と本殿。旧拝殿は昭和50年(1975)の火災で焼失、現社殿は同55年(1980)に再建されたものです。

時間が早かったため、ちょうど宮司さんたちが境内の掃除をしているところでしたので、参拝後に声をかけて御朱印をいただきました。

沼名前神社の御朱印

沼名前神社の御朱印。下の印は「式内」「国幣」「沼名前神社」。上は神功皇后が奉納したと伝えられる「稜威の高鞆(いずのたかとも、鞆は弓を射る時に使う道具)」。

沼名前神社の御朱印

こちらは昭和11年頃の沼名前神社の御朱印。現在のものと同じです。「式内」「国幣」は式内社で国幣小社の意味ですが、式内の国幣社の意味に解釈にして(式内社には官幣社…神祇官から幣帛を奉られる…と国幣社…国司から幣帛を奉られる…があり、沼名前神社は国幣社であった)、戦後の不当な圧力を切り抜けたのかもしれません。なお、右上の印「沼名前神社印」は大正から昭和の初めに使われていた印です。

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沼名前神社の概要

沼名前神社(ぬなくまじんじゃ)
正式名称:沼名前神社
旧称:鞆祇園宮、渡守社
御祭神:大綿津見命・須佐之男命
創建年代:仲哀天皇2年(193)
鎮座地:広島県福山市鞆町後地1225
社格等:式内社、旧国幣小社、別表神社
http://tomo-gionsan.com/

【由緒】
延喜式神名帳にその名が見える沼名前神社は早くに所在が分からなくなってしまいました。江戸時代になって考証が行われ、鞆の祇園社境内にあった渡守(わたす)大明神に比定されました。

社伝によれば、神功皇后が西国に向かう途中で当地に停泊した時、海中より湧出した霊石を依り代として大綿津見神を祀り、航海の安全を祈願したことに始まるといいます。また、神功皇后は大和へ帰る途中、再び当地に寄港し、大綿津見神に「稜威の高鞆(いずのたかとも)」を奉納しました。これが鞆の地名の由来とされます。

元は渡守の辻に鎮座していましたが、慶長4年(1599)火災で焼失、その後、福島正則が後地麻の谷に再建、貞享2年(1685)福山藩主水野氏によって祇園社境内の現社地に遷座したとされます。

鞆祇園宮とも称された祇園社は備後三祇園に数えられた鞆町の産土神ですが、創建についてはよくわかっていません。天長年間(824~34)の創建とも、保元2年(1157)弁祐阿闍梨による勧請ともいわれ、また、元は石町に鎮座していたが天長年間に麻の谷へ遷座したとも伝えられます。『備後国風土記』逸文にある疫隅社(えのくましゃ)に当てる説もあります。

慶長4年の大火で焼失した後、草谷の現社地に再建されました。寛永2年(1625)水野勝重が鳥居を奉納、天和2年(1682)には向拝付五間社入母屋造の社殿が造営されました。

明治4年(1871)渡守社が祇園社境内にあることから、祇園社を沼名前神社として国幣小社に列格。しかし同8年(1875)、宮司の上信により渡守社が沼名前神社であることが認められ、翌9年(1876)渡守社の大綿津見神を祇園社本殿に奉斎、祇園社の須佐之男命は相殿に祀ることとなりました。

戦前と現在の御朱印(福山市の別表神社)
沼名前神社・備後護国神社福山八幡宮

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