文政8年『神社仏閣順拝帳』
西国7番 東光山 岡寺(龍蓋寺)
大和国高市郡岡村(奈良県高市郡明日香村岡)
西国7番岡寺は、正式には東光山 真珠院 龍蓋寺と号しますが、地名に因む岡寺の名で広く知られています。宗教法人としての登記も岡寺になっています。
寺伝によれば、天智天皇2年(663)義淵僧正が草壁皇子の住んでいた岡宮の跡に開創したとされます。
龍蓋寺の名は、義淵僧正が飛鳥の地を荒らしていた龍を池に封じ込め、大きな石で蓋をして改心させたことに因むと伝えられます。境内には龍を封じたという龍蓋池があり、蓋である要石を触ると雨が降るという伝承があるそうです。
義淵僧正は日本の法相宗の祖であり、弟子には玄昉僧正や行基菩薩、良弁僧正などそうそうたる高僧が名を連ねています。この縁から長く興福寺の末寺とされていましたが、江戸時代に長谷寺の末寺となりました。
御本尊は厄除け観音としても知られ、古くから厄除け祈願でも多くの参拝者を集めています。
重要文化財で慶長17年(1612)に再建された仁王門を始め、文化2年(1805)建立の本堂など、主要な建物の多くは太郎助が参拝した当時からあったものですが、三重塔は昭和61年(1986)の造営。『大乗院日記』文明4年(1472)7月21日条に龍蓋寺の塔が倒れたという記事があり、約500年ぶりの再建ということになります。
岡寺の納経
順拝帳を見ると、揮毫は右から順に
「奉納経」
「勅願所」「如意殿」
「西和州 岡寺」
中央の宝印は蓮台上の宝珠に梵字がある。岡寺の御本尊は如意輪観音なので、その種字なら「キリーク」または「キク」のはずだが、これは違うようだ。因みに太郎助の少し前、文政5年(1822)の納経では「キリーク」になっている。
右上の印は「西国第七番」、左下は「龍蓋寺」。
岡寺(龍蓋寺)の概要
東光山 岡寺(おかでら)
現名称:東光山 真珠院 龍蓋寺
別名: 岡寺
御本尊:如意輪観世音菩薩
創建年代:天智天皇2年(663)
開基:義淵僧正
大和国高市郡岡村(奈良県高市郡明日香村岡)
宗派等:真言宗豊山派
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