四国10番 切幡寺〈文政8年〉

文政8年『神社仏閣順拝帳』
四国10番 得度山 灌頂院 切幡寺
阿波国阿波郡切畑村(徳島県阿波市市場町切畑)

四国10番切幡寺の納経

吉野川の北側にある1番から10番までの10ヶ寺を十里十ヶ所と呼びます。比較的短い距離に徒歩で巡拝するには手ごろな区間となっています。その10ヶ所目の切幡寺は切幡山の中腹にあり、330段の石段を上らなければなりません。

寺伝によれば、この地で修法をしていた弘法大師が、山の麓で機を織っていた娘に綻びた僧衣を繕うための布を所望しました。すると娘は、織りかけていた布を惜しげもなく裁ち切りって差し出しました。

大師は非常に感動して、娘に何か願いはないかと尋ねたところ、亡き父母の代わりに観音像を造って祀ることと、自分自身も仏門に入って修行することを願いました。そこで千手観音の像を刻み、また娘を得度させて灌頂を授けたところ、娘は身体から光を放って千手観音に化身しました。

大師はこのことを嵯峨天皇に奏上し、勅願によって一寺を開創しました。そして自分が刻んだ観音像を南向きに、娘が化身した観音像を北向きに安置して本尊とし、得度山灌頂院切幡寺と名付けたと伝えられます。

目次

切幡寺の納経

四国10番切幡寺の納経

『順拝帳』を見ると、右から順に

「奉納経」
「本尊千手観音」
「阿州得度山」「切幡寺」
「三月十四日」

中央の印は宝珠に千手観音の種字「キリーク」、右上は「四国拾番」、左下の印はよくわかりません。

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切幡寺の概要

得度山 灌頂院 切幡寺(きりはたじ)
現名称:得度山 灌頂院 切幡寺
御本尊:千手観世音菩薩
創建年代:弘仁年間(810~24)
開山:弘法大師
所在地:阿波国阿波郡切畑村(徳島県阿波市市場町切幡)
宗派等:高野山真言宗

文政8年『神社仏閣順拝帳』
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