四国28番 大日寺〈文政8年〉

文政8年『神社仏閣順拝帳』
四国28番 法界山 高照院 大日寺
土佐国香美郡母代寺村(高知県香南市野市町母代寺)

四国28番大日寺の納経

四国12日目の3月21日は27番神峯寺と28番大日寺のみ。土佐国の遍路道は、距離が長いわりに札所の数が少ないため、修行の道場の名にふさわしく、ひたすら歩き続ける路程が続きます。

寺伝によれば、天平年間(729~49)聖武天皇の勅願により、行基菩薩が開創したとされます。本尊・金剛界大日如来坐像は行基菩薩の作と伝えられており、重要文化財に指定されています。

その後は荒廃したものの、弘仁6年(815)弘法大師が来錫して再興。この時、楠の立木に爪で薬師如来を刻んだのが奥の院の爪彫り薬師で、首から上の病気に霊験があるとされます。明治の初めに大風で倒れたため、今は薬師堂に安置されています。

往古は寺領800石、寺数25を誇ったと伝えられ、長曽我部氏も保護を与えました。江戸時代には土佐藩の祈願所として栄え、境内には本堂のほか護摩堂・持仏堂・観音堂・大師堂山王権現などが並んでいたといいます。太郎助が見た大日寺もそのような姿だったのでしょう。

明治の神仏分離で明治4年(1871)に廃寺となりましたが、「大日堂」として地元の人々によって守られ、本尊の大日如来像や観音堂の本尊で智証大師の作と伝えられる小観世音菩薩立像(重要文化財)も無事でした。同17年(1884)に再興され、伽藍を整備しながら現在に至ります。

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大日寺の納経

四国28番大日寺の納経

『順拝帳』を見ると、墨書部分は右から順に

「奉納」
「本尊大日如来」
「土佐法界山」「大日寺」
「酉三月廿一日」

中央の朱印は九畳篆の書体で判読しづらいのですが、「大日密寺」のようです。右上の印は「第二十八番」、左下の印は判読できません。

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大日寺の概要

法界山 高照院 大日寺
現名称:法界山 高照院 大日寺
御本尊:大日如来
創建年代:天平年間(729~49)
開山:行基菩薩
所在地:土佐国香美郡母代寺村(高知県香南市野市町母代寺)
宗派等:真言宗智山派

文政8年『神社仏閣順拝帳』
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