文政8年『神社仏閣順拝帳』
四国26番 龍頭山 光明院 金剛頂寺
土佐国安芸郡西寺村(高知県室戸市元)
四国11日目は西寺(にしでら)の通称で知られる26番金剛頂寺まで。東寺(ひがしでら)と呼ばれる24番最御崎寺、津寺(つでら)と呼ばれる津照寺と合わせて室戸三山と呼ばれる3ヶ寺を参拝しています。
金剛頂寺は行当岬を見下ろす高台の上にあります。
寺伝によれば、大同2年(807)平城天皇の勅願により弘法大師が創建したとされます。当初は金剛定寺と称しましたが、次の嵯峨天皇が「金剛頂寺」の勅額を奉納されたことにより寺号を改めました。続く淳和天皇も当寺を勅願所とし、住職は第十世まで勅命により選ばれていたといいます。
以来、寺運は隆盛し、往古は現在の室戸市の大部分が寺領であったといいます。東寺・最御崎寺とは関わりが深く、しばしば西寺の住職が東寺を兼帯しました。長曽我部氏や山内氏からも庇護を受けています。
江戸時代以前は女人禁制で、女性は行当岬の不動堂で遥拝・納経していました。女性の納経帳には不動堂での納経がありますが、太郎助は金剛頂寺のものです。
明治32年(1899)に大火で伽藍が焼失し、現在の本堂や仁王門はその後の再建です。
金剛頂寺の納経
『巡拝帳』を見ると右から順に
「奉納」
「本尊薬師如来」
「西寺」
「酉三月廿日」
中央の朱印は火炎宝珠に薬師如来の種字「ベイ」。中央上の印は薄くて判別しづらいのですが、同時期の納経帳から判断して十六八重菊と五七の桐の御紋。左下の印も印影が薄いため判読できないのですが、「西寺」あるいは「龍」もしくは「龍頭」のようにも見えます。
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金剛頂寺の概要
龍頭山 光明院 金剛頂寺(こんごうちょうじ)
現名称:龍頭山 光明院 金剛頂寺
御本尊:薬師如来
創建年代:大同2年(807)
開山:弘法大師
所在地:土佐国安芸郡西寺村(高知県室戸市元)
宗派等:真言宗豊山派
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