四国別格13番 仙龍寺

愛媛県四国中央市新宮町馬立1200 [Mapion | googlemap]

仙龍寺

金光山 遍照院 仙龍寺(せんりゅうじ)
四国65番奥之院・四国別格13番・四国総奥之院
御本尊:弘法大師
創建年代:弘仁6年
開基:法道仙人
宗派等:真言宗大覚寺派
公式サイト:http://www.okunoin-senryuji.com/
御詠歌:極楽は 他にはあらぬ この寺に 御法の声を きくぞうれしき

【略縁起】
仙龍寺は、四国霊場第65番三角寺の奥之院で、現在では四国別格霊場の第13番・四国三十六不動の第26番ともなっています。

寺伝によれば、嵯峨天皇の弘仁6年(815)42歳を迎えた弘法大師はこの山を訪れ、法道仙人と出会いました。

法道仙人よりこの地を譲り受けた大師は、金剛窟に瀧沢大権現と開運不動尊を勧請し、息災の護摩壇を築いて、「開運厄除」と「虫除五穀豊穣」の誓願を立てて二十一日の護摩を修しました。

護摩修行成満の後、自らの姿を刻んで安置した。この像が「厄除大師」「虫除大師」と呼ばれるようになり、広く信仰を集めるようになったといいます。

元は三角寺の大師堂でしたが、いつの頃からか奥之院となり、四国総奥之院とも呼ばれています。

仙龍寺の納経(御朱印)

納経所は通夜堂内の本堂脇にあります。

仙龍寺の納経(別格)

四国別格霊場の納経帳にいただいた別格13番の納経。揮毫は弘法大師を表す弥勒菩薩の種字「ユ」に「弘法大師」。中央の法印は蓮華座上の火焔宝珠に種字「ユ」。右上は「四国別格第十三番」、左下は「仙龍寺」。

仙龍寺の納経(奥之院)

こちらは四国65番奥之院としての納経。揮毫は種字「ユ」に「遍照金剛」。中央と左下の朱印は別格霊場のものと同じで、右上の印は「四国第六十五番奥之院」。

仙龍寺の参拝記

仙龍寺の存在を知ったのは、初めて四国八十八ヶ所を巡拝したときのこと。別格二十霊場の納経帳を購入して、その一ヶ寺、65番奥之院として認識しました。

以来、いずれ参拝しようとは思っていましたが、特に優先すべき理由も見当たらず、交通の便が不便なこともあって、後回しにしたまま30年近く経過していました。別格霊場とはいえ、奥之院の一つとしか思っていなかったからです。

ところが、江戸時代や明治時代の納経帳を調べるようになって、仙龍寺に対する認識が変わりました。番外札所はたくさんありますが、その中でも特に多くの人が参拝しているのが仙龍寺だったからです。

仙龍寺の納経

こちらはサイトで紹介している天保11年の納経。

仙龍寺の納経

こちらもサイトで紹介している明治38年の納経。

遍路道沿いにあるならばわかりますが、仙龍寺には三角寺からわざわざ山を越えていかなければなりません。当時のお遍路さんにとって「参拝すべき所」であったことがわかります。

真念法師の『四国辺路道指南』や寂本阿闍梨の『四国徧礼霊場記』にも記述がありますし、承応2年(1653)に四国を巡拝した澄禅大徳も仙龍寺に参拝しているので、かなり古くから重視されていた霊場であることは間違いありません。

ということで、ぜひ参拝しようと考えるようになったわけです。

仙龍寺への公共交通機関はありません。

国道192号線から四国中央市新宮町(旧宇摩郡新宮村)に向かう県道5号線に入り、堀切トンネルを越えたところで国道319号線に入ります。県道から国道といいながら、県道が2車線で国道は1車線、曲がりくねった道を延々と進みます。

仙龍寺は吉野川の上流、銅山川のほとりにあります。本来の参道は山のほうですが、駐車場は境内の下にあります。

四国総奥之院の標石

駐車場からの参道入口に立つ「四国総奥之院」の標石。

因みに、仙龍寺の他に四国総奥之院を称する寺としては、香川県東かがわ市の與田寺と徳島県美馬市の大瀧寺(別格20番)があります。

参道

参道を登っていくと、懸造り(かけづくり)の通夜堂が見えてきます。懸造りは懸崖造り(けんがいづくり)とか舞台造りともいいます。京都の清水寺が有名です。

通夜堂

山道を登り切ると広場になっており、巨大な通夜堂があります。一見すると2階建てのようですが、実は4階建て。玄関があるのが3階で、その下に1階と2階があります。かつては多くのお遍路さんが参拝し、仙龍寺で一夜を過ごしたため、それらの人々が宿泊できるようになっていたそうです。

通夜堂前の広場はコンクリートで谷川の上に造られたもの。元は屋根付きの木の橋があるだけだったそうです。

通夜堂側面

下から見るとよくわかります。通夜堂の1階2階部分がコンクリートで覆われていますが、窓から木の柱が見えます。

広場を造る前は平地がまったくなく、谷間に巨大な通夜堂があるだけだったのでしょう。200年前にはほぼ現在と同じような造りだったといいますから驚きです。よくこれだけのものを建てたものです。

手水舎と鐘楼

本堂前の広場には、鐘楼や手水舎があります。

六角堂

一段高いところに六角堂があります。こうやって、わずかな平地に御堂を建てていたのでしょう。

参拝は通夜堂に入り、靴を脱いで上の階へ。納経所の奥に弘法大師を祀った本堂があります。

本堂内部

この部分は約200年前のものとのこと。建物が大きい割に天井が低く、洞窟の中のような感じがします。

本堂外観

たぶん、通夜堂の脇にあるこの部分が本堂だろうと思います。

ご住職は気さくな方で、納経をお願いした後、いろいろと話を伺いました。

仙人堂

通夜堂前の広場をはさんで、法道仙人を祀る仙人堂があります。かなり急な石段の上。

弥勒堂

その上に弥勒堂。実は、この狭くて急な石段が三角寺からの遍路道です。

険しい山道を越えてきたお遍路さんは、この角度で仙龍寺の通夜堂を見おろしました。

仙龍寺

通夜堂前には広場がなくて谷川が流れており、橋が架かっていただけ。忽然と現れる大きな通夜堂は、さぞかし訪れる人を驚かせたことでしょう。

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