御釜神社(鹽竈神社境外末社) 日本三奇・塩釜

宮城県塩竈市本町6‐1(Mapion/googlemap

御釜神社

塩竈市の御釜神社は陸奥国一宮・鹽竈神社の境外末社で、塩竈市・鹽竈神社の名の由来となった塩釜(四口の神釜)を奉安しています。塩釜は天逆鉾(宮崎県高原町、高千穂峰山頂)、石の宝殿(兵庫県高砂市、生石神社)とともに「日本三奇」に数えられます。参拝は平成19年。

四口の神釜は塩土老翁神(しおつちのおじのかみ)が製塩に用いたものという伝承があります。元は7口あり、3口が盗まれて4口になったともいわれます。また、神釜の水は溢れることも涸れることもなく、世の中に異変が起こるときには色が変わるとも伝えられます。

御釜神社大鳥居

鹽竈神社、志波彦神社と参拝して東参道をのんびり下り、商店街へと入っていくと、すぐに御釜神社が鎮座していました。小ぢんまりとした境内ですが、入口には立派な朱の鳥居が建っています。

御釜神社社殿

正面に御釜神社の社殿があります。

御釜神社神釜奉置所

向かって左に神釜奉置所。この中に四口の神釜が奉安されています。神釜の拝観はできますが、写真は撮れません(許可がいるようです)。

こちらのページには神釜の写真があります。
四口の神釜(文化の港 シオーモ)

中でも手前右側の釜は御台釜と呼ばれ、『別当法蓮寺記』に神に愛でられたものと伝えられてきたという記述があるそうです。

御釜神社塩竃

藻塩焼神事で使われる塩竈。

因みに、「竈」は「かまど」のことで、「塩竈」は製塩に使う竈のこと、「釜」はかまどにかけて煮炊きをする器具のことで、「塩釜」は「塩竈」に載せて潮水を煮詰めるための釜ということになります。

神釜について、「神竈」という表記も見られますが、意味から考えると「釜」が適切だと思われます。「御釜神社」の名も同じでしょう。ただし、「塩竈」と「塩釜」はセットで使わなければ意味のないものですし、そもそもどちらも「かま」というのは語源が同じだからということのようです。鹽竈神社の「塩(鹽)竈」は、竈と釜を含めた総体としての塩竈を表しているのでしょう。

ところで、『国史大辞典』によれば、6~7世紀までの製塩は土器を使っており、塩釜が文献上に登場するのは奈良時代のことだそうです。当時の記録に残る塩竈は、御釜神社の神釜のような鉄製の浅い大皿のようなものでした。しかし、鉄製の塩釜は極めて希少で、わずかに国衙や寺院で用いられていたにすぎず、古代から中世においては石釜や土釜、貝釜、網代釜が一般的だっただろうと推測されているとのこと。さらに近世の入浜塩田では独特の構造の石釜が普及したといいます(若狭湾、駿河湾などでは鋳鉄の塩釜も使われたとのこと)。つまり、近世以前、鉄製の塩釜というのは極めて珍しいものだったようなのです。

日本三奇とはいうものの、石の宝殿や天逆鉾に比べて塩釜は地味というか、なぜ三奇に数えられるのだろうと訝しく思っていたのですが、江戸時代以前の人たちにとっては鉄製の塩釜というもの自体が非常に貴重で希少なもの、つまり見慣れないものだったということを前提に考える必要があるようです。だからこそ神様が使ったもの、神様が愛でたものという伝承もできたのではないでしょうか。

御釜神社藤鞭社 御釜神社藤鞭社の池

こちらは境内にある藤鞭社とその脇にある池。伝承によれば、昔、和賀佐彦という神様が7歳の子供の姿となり、塩を乗せた牛を曳いていました。その牛が石になったのが牛石で、藤鞭社の脇の池に沈んでいるといいます。一年に一度の水替神事の際にその姿が見えるそうです。この池の水は海とつながっているともいいます。また、藤鞭社は、神様が使っていた藤の鞭を立てかけておいたところ、枝葉が茂って花が咲いたのでお祀りしたと伝えられているそうです。

御釜神社の御朱印

御釜神社御朱印

御釜神社の御朱印。中央の朱印は「御釜神社」。

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御釜神社の概要

御釜神社(おかま じんじゃ)
御祭神:塩土老翁神
創建年代:不詳
鎮座地:宮城県塩竈市本町6‐1
社格等:旧国幣中社鹽竈神社 境外末社

【御由緒】
鹽竈神社は『延喜式神名帳』に記載されていない式外社ですが、同じ『延喜式』の主税寮上や、さらに古い『弘仁式』の主税には「祭鹽竈神料一万束」とあり、当時からきわめて重んじられていたことがわかっています。御祭神は別宮に主祭神である塩土老翁神、左宮に武甕槌神、右宮に経津主神を祀ります。塩土老翁神の先導により武甕槌神(鹿島神宮の御祭神)・経津主神(香取神宮の御祭神)が東北地方を平定し、両神の帰還後、当地に残った塩土老翁神が海水から塩を作る方法を教えたとされます。

御釜神社の創建については不詳ですが、四口の神釜は塩土老翁神が製塩に用いたものという伝承があり、元は7口あったものが3口が盗まれて4口になったともいわれます。また、神釜の水は溢れることも涸れることもなく、世の中に異変が起こるときには色が変わるとも伝えられます。

鹽竈神社の例祭に先立って行われる「藻塩焼神事」は古代の製塩法を今に伝えるもので、7月4日から6日までの3日間行われます。松島湾の釜ヶ淵(盗まれた神釜の一つが沈んでいると伝えられる)で汲んだ潮水で神釜の水を入れ替える「水替神事」、境内の製塩用の竈で海水を煮詰め、塩を作る「藻塩焼神事」などが執り行われます。

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コメント

  1. […] (1)境外末社・御釜神社の御朱印、平成19年拝受。朱印は「御釜神社」。 […]

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