西国29番 松尾寺〈文政8年〉

文政8年『神社仏閣順拝帳』
西国29番 青葉山 松尾寺(まつのおでら)

松尾寺の納経印

永平寺の次は西国29番松尾寺で納経印を受けています。松尾寺は丹後(京都府)と若狭(福井県)の国境にそびえる青葉山の中腹にあります。参拝は3月3日の桃の節句、新暦の4月20日で、永平寺からは3日かかっています。

寺伝によれば、慶雲年間(704~708)唐より渡来した威光上人は、仏法有縁の霊地を求めて各地を巡っていました。丹後の国に到り、青葉山が唐土の馬耳山に似ているのを見て、霊峰であることを確信しました。そして、山頂の松の大樹の下で馬頭観音を感得し、草庵を結んでお祀りしたのが松尾寺の創建とされます。

古くより丹後の観音霊場として名高く、元永2年(1119)には鳥羽上皇の行幸がありました。所蔵の普賢延命菩薩画像(国宝)は鳥羽上皇の后・美福門院の念持仏であったと伝えられます。

松尾寺の納経

松尾寺の納経印

順拝帳を見ると、墨書は右から
「奉納経」「丹後国」
「本尊馬頭観世音大士」
「青葉山松尾寺」「知事」
「酉三月三日」「行者丈」

中央の印は蓮華上の円に馬頭観音の種字「ウン」。この納経帳ではよくわかりませんが、文化10年(1813)年の納経帳にある印と同じもののようです。右上の印は「西国第二十九番」、左下は「松尾執事」。

「本尊馬頭観世音大士」の「大士」はサンスクリット語の「マハー・サットヴァ(偉大なる衆生)」の意訳で、音訳すると「摩訶薩(まかさつ)」。「菩薩」のことです。菩薩は「ボーディ・サットヴァ」の音訳で、菩提を求める衆生の意味になり、すべての修行者を意味する使い方もあるため、観世音菩薩や地蔵菩薩など信仰の対象になる菩薩を「菩薩摩訶薩(ぼさつ・まかさつ)」と呼んで、区別することがあります。

「松尾寺」の上の字は読みづらいのですが、山号の「青葉山」で間違いないと思います。

松尾寺の概要

現名称:松尾寺
御本尊:馬頭観世音菩薩
所在地:丹後国加佐郡松尾村(京都府舞鶴市松尾)
宗派等:真言宗醍醐派
http://www.matsunoodera.com/

◆文政8年『神社仏閣順拝帳』
永平寺 → 松尾寺 → 智恩寺

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